11月 2016

2016年11月18日金曜日

JR北海道の路線廃止報道に見る日本の未来

JR北海道の島田修社長は18日の記者会見で、単独での路線維持が困難な赤字の10路線13区間を公表した。 
対象は、全路線の約半分に相当する約1237キロに上り、うち3区間は廃止を前提とする。8区間は路線維持の費用について、沿線の自治体と協議するが、地元の反発は必至だ。

廃止を前提とするのは、札沼線の北海道医療大学-新十津川間(47.6キロ)、
根室線の富良野-新得間(81.7キロ)、留萌線の深川-留萌間(50.1キロ)の3区間。
いずれも1日1キロ当たりの利用者数を示す輸送密度が200人を割り込んでおり、バスへの転換を図る方向で検討する。 

要するに利用客が減少して路線維持費すら出なくなり、回復の見込みができないため路線を廃止するという。

廃止路線の他に、上下分離方式の導入も検討されている。

輸送密度が200人以上2000人未満の宗谷線の名寄-稚内間など8区間については、 自治体が線路などの施設を一部保有し維持管理を担う「上下分離方式」の導入も含め、自治体の協力を求める考えだ。

どうしても継続を要望するなら、こうした地方自治体の税金により運行を維持する他ない。





こうした路線廃止は、JR北海道だけにとどまらず、今後数十年に渡って日本各地で発生する可能性が高い。

何しろ日本の総人口が減少傾向に転じており、さらにその傾向はとどまるところを知らない。それに拍車をかけるように、若者は首都圏を目指し転出し、そのまま定着するために地方は寂れる一方となる。

住民が減少すれば公共交通の利用客も減り、路線維持は困難になる。いくら住民が反発しようが、民間企業であるJR北海道が赤字を垂れ流して路線を維持することはできない。

しかし人口が減り税収が減少する一方の地方自治体にもそこまで余力はない。 厳しい選択を迫られることとなるのは目に見えている。




現在はまだ在りし日の栄光を捨てきれない世代が残っているから、路線廃止方針に対して「反対」などという声が出てくるが、そのうち地方では地域ごとに捨て去られるところも出てくるだろう。

実際問題、人口が一定以下を割り込んだ地域に対して、地方自治体が税金を投入するにも限りがある。その上、大半の社会インフラは構築されてすでに半世紀が過ぎようとしており、今後維持費用がかさんでくることもわかっている。

道路、橋、上下水道、電気、ガス。

これまで何気なく、日本の国土全体にあまねく張り巡らされているのがあるのが当たり前だと思ってきた様々な社会インフラに対して、「選択と集中」という側面が大きくなってくる。

今後は、住民自らが地域ごとに集まって住むという選択肢を取らざるを得なくなってくるのは間違いない。