エアコンつけっぱなしは損?

2016年8月16日火曜日

エアコンつけっぱなしは損?

「エアコンはつけっぱなしが得なのか?」というここ数年ずっと話題になっているエアコンの使用方法について、メーカーによる実験結果が発表された。

わかっていたことだが、何も考えずにずっとつけっぱなしにするのは無駄になる可能性があるということだ。




実見は、エアコンメーカー大手であるダイキンが発表したもの。

http://www.daikin.co.jp/press/2016/160812_2/

第5回 『ダイキン 空気のお悩み調査隊がゆく!』
8月の猛暑日・大阪の築10年・南向きマンション2部屋での検証結果
日中30分の外出ならエアコンは切るより「つけっぱなし」がお得でした!
時間に関係なくいつでも「つけっぱなし」にするのは逆効果

という見出しが付いている。

今回の実験では、日中の9時から18時までの主婦層の行動例をもとにつけっぱなしとこまめに電源入り切りを繰り返すのとで、どちらが消費電力が小さくなるかを比較したもの。

冷房26度の風量自動設定で、消費電力推移、実際の部屋温度推移なども書かれている。

実験条件も細かく書かれており、間取りや部屋の写真も載っている。
<検証実験の環境>
● 実験場所:大阪府大阪市
● 建物構造:鉄筋コンクリート造(14階建て)
● 築年月:2006年3月
● 部屋の広さ:約14畳
● 2階と3階の階違いの同じ間取りの部屋を使用
● 使用したエアコンの機種:『うるるとさらら Rシリーズ』 AN40TRP-W 4.0kW(主に14畳用))
● エアコン設定:冷房26℃、風量自動
● 実験に使用した部屋の間取り(図表なので引用せず)



実験結果は見出しにあるように「30分程度の外出であればつけっぱなしにしておいたほうがお得」というものだ。

実験する前からだいたい分かりそうなものだが、コンビニや近くのスーパー、幼稚園のお迎えなどすぐに帰ってこれる用事であればいちいちエアコンを消さないほうがいいということになる。

ましてや大人ならまだウチワなどで我慢もできるが、小さいお子さんがいる家庭の場合、暑いのは我慢できない。そう考えれば、日中は数時間のお出かけでない限りはつけっぱなしのほうが電気代は安くなるのは当然と言える。



「つけっぱなしがお得」には裏がある


前から思っているのだが、この「つけっぱなしがお得」という話には裏があり、いろいろな条件を隠している。

つけっぱなしがいいという話には、常時エアコンを「自動運転モード」で運転することでエアコン始動時の消費電力が過大な状況をなくすという前提条件がある。

最近のエアコンは、電源を入れると設定温度に向かって急速に冷やすために全力運転を開始する。この全力運転中の電気代は結構なもので、恐らくつけっぱなし運転を選択する人は、この全力運転で可能な限り急速に部屋の温度を冷やすことを避けるのを想定していると思われる。

しかし大の大人の場合は、それほど急に冷えなくともとりあえず外より涼しければ凌ぐことは可能だ。だから微風運転+扇風機で十分ということが大半だと思われる。そうなると我慢できないほど暑いのは最初の数分ということになり、その間に洗顔するなり、シャワーを浴びれば部屋に戻る頃にはひんやりした状態になっているはずだ。

このような使い方をすれば、エアコンが全力運転をする時間は短くなる。ただし30分ほどの短時間外出時にもエアコンを切断すれば無駄になるため、それくらいの時間ならばつけっぱなしのほうがいいですよという、極当たり前の実験結果になったのではないかと思われる。

実際、ネット上でこの実験結果を見ての感想を見ていると、「日中しか実験していないから意味が無い」などという指摘も散見した。恐らく書き込んでいる人は一人暮らしでワンルームに近い生活スタイルなのだろうが、エアコン代が気になるような人はだいたい家族持ちで、かつ日中など家にいる人数が減った状態での運用スタイルをどうすればいいのかを気にしている。

特殊なケースを除き、やはり誰も家(または部屋)にいない時間が長くなるようならばエアコンの電源を切り、短時間だけ空ける場合には電源は切らないほうがまだマシだという常識の範囲内での運用でいいようだ。

また電気量販店などで前提として話をする「自動運転モード」は使わず、出来る限り「微風運転(しずかなモード)」+扇風機で運用したほうがいいだろう。これで我慢できないほど暑い状態が続くのなら、それはエアコンで解決せず、部屋の外にすだれをかけたり、カーテンをぶ厚めのものにするなどの工夫をした方がいい。


おまけ

もっともリビングダイニング(LD)の部屋で過ごすことが多い家族の場合、夏の気温が高めになる期間はLDに設置している冷蔵庫の使用電気量もけっこうなものになる。なぜなら冷蔵庫は周りの空気との温度差により庫内を冷やしているためで、周りの温度が上がれば上がるほど温度差は広がってしまう。そうなると冷蔵庫は庫内を冷やすためにフル運転を行い、結果として使用電気量は大きくなってしまう。それも考えてLDのエアコンは、ある程度付けておいたほうが総合的な電気代は抑えられる可能性が高い。

このエアコンつけっぱなしお得論は、今やインタネットではかなりメジャーな話になっており、「エアコン 電気代」などで検索すると、つけっぱなしがお得!!!というページしか見つからなくなってしまっている。

今回、大手メーカーのダイキンが調査結果をきちんと発表したことにはかなり好感が持てる。

メーカー各社は、モノを売ってしまえば後は知らないという立場ではなく、いろいろな条件で実験を繰り返し、どのような使用スタイルにすれば総合的な電気量を抑えられるか?といった「運用面」についても積極的に情報発信していくべきだろう。それこそ信頼されるメーカーへの早道とも言える。

また、この夏場の日中冷房つけっぱなしが広まれば、扇風機との併用がさらに効果的となるが、この時扇風機の風量が意外に気になってくる(微風でもちょっと風当たりがきつ過ぎる)。扇風機メーカーには「超々微風モード」(本当のそよ風レベルで、部屋の空気をゆるやかに動かす程度)を早々に付けて欲しいものだ。



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