天皇陛下が生前退位のご意向
天皇陛下が生前退位のご意向を漏らされたことが話題となっている。今上天皇は、昨年12月に誕生日を迎えられ、82歳となられた。
戦後定められた現憲法下における象徴天皇として即位された今上天皇は、望むと望まざるとにかかわらず、日本人の象徴として年月を過ごしてこられた。
そのお姿は、折りに触れTV・新聞などのメディアで報道され、まさに日本人としてのあるべき姿をお示しになってこられた。
雲仙普賢岳、阪神大震災、東日本大震災など、各地の災害現場へのご訪問で、膝をついてのお声がけをされるなどそのお姿は常に弱者に寄り添うものであった。
決して奢らず、慎ましやかで、常に穏やかであり、他者への気遣いと、弱者に対する慈愛と思いやりに溢れた行動は、言葉で表わされるまでもなく、日本人の枠を越え、「21世紀の人間として如何にあるべきか」という理想を示されたといってもいいのではないか。
時折、「日本に皇室が必要なのか?」という議論が見られるが、皇室が日本にもたらす影響は計り知れないほどに大きく、その恩恵は日本人が意識することなく受けている。
通常の民主国家の場合、外交は政治家の代表により行われる。しかし日本の場合、政治家による外交の他に、皇室の方々による外交が頻繁に行われており、それは日本が世界において現在の地位を保つことができている要因のひとつと考えることができる。
現在、日本人はその領土の小ささや独特な使用言語、独特な文化にも関わらず、世界において一定の尊敬と配慮とを得ている。技術や経済でのみ世界に伍するだけでなく、日本人の持つ独特な内面的世界観を常に意識させることは、どれほどプラスになったことかわからず、その一端を皇室外交が担ってきたことを思えば、それはまさに、日本人の象徴であったといえるのではないか。
これらは政治家による外交だけでは決して実現できない、また得難いものである。
こうした公式行事の数々は、戦後折りに触れ増えてきたこともあり、以前とは比べ物にならないほど皇室の負担は増加している。
しかし国事行為を始めとして、今上天皇と皇后陛下が行われる公式行事は非常に多く、その事前準備から当日の行事遂行に至るまでの負担は計り知れない。
それがすでに80歳を超えたお体に対する負担になっていることは明らかで、これまで幾度か入退院されたほか、現在も万全の体調ではないとされる。
象徴であることを意識し、これまで幾度か議論がなされてきた退位についても、ギリギリの状態になるまではできうる限り自ら行うことを表明されてきた。
今回、自ら退位の意思を示されたことを重く受け止め、皇室典範の改正に向け議論を進める必要があると考える。
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